刹那はエミリオにただならぬ敵対心を抱いている。
 夕飯に出てきた千枚漬けで、エミリオは一枚多かったとか、ウォンの言葉が自分より三.五秒長かったとか(ストップウォッチ持参)、みんながみんなエミリオをひいきしているとしか思えないのだ。

「刹那よぉー、そりゃ、お前の考えすぎだ」
「いいや、絶対にひいきしてる!俺にはわかるんだ!!」

 鼻息も荒く、刹那は大断言。その目は嫉妬の炎でメラメラと燃えている。
 ちょうどそこに、噂の人物、エミリオがやってきた。その途端、ディルームの空気が キースがやったんじゃないの?ってなくらい、凍り付いた。 ガデスの丸太みたいな腕に鳥肌がブツブツと立つ。

「なんだ、あんた…いたの」
「いて悪いのか?!」

 激昂して怒鳴る刹那に、エミリオはヴィーナスも真っ青な艶美な笑みを浮かべた。が、更に部屋の温度が下がるような、おっそろしく冷ややかなものである。ガデスのドラム缶みたいな首筋にまで鳥肌が立つ。

「別に。でも、いない方がいいね」
「貴様ぁー!赦さん!!」
「やろってーの?まさか、あんたがこの僕に勝てると思ってるの?バーカ、勝てるわけないじゃん」

 そう言っている最中に、エミリオの背後にピョコンピョコンとプリズムリフレクター&リフレクターダッシュが形成されていく。ガデスは止めようかな、とちょっと思ったが、止めたってどうせ止まらないだろうし、結果はもう見えていたので、黙っていた。

「死ねっ!」

 シーカーレイくらいにしとけばいいのに、エミリオはトリニティレイをぶっ放した。ここらへんがまだお子ちゃまな証拠。

「うおーーー!!」

 光はリフレクターで跳ね返り、光の筋の大暴走。ガデスはそそくさと、地震が起きた時のようにテーブルの下に隠れた。しかし、がたいがでかいので、テーブルが浮く。

「何ですか、騒々しいですよ!」

 ウィーンと音がして、細目長身えげつない男のウォンが入ってきた。こめかみに怒筋がピクピクしている。

「エミリオ!まーたあなたですか!!」
「「「あ」」」

 3人が同時に声をあげた。
 ヒステリーを起こすウォンめがけて一直線にシーカーレイは進んだかと思うと、なんとおでこでつるっと反射した。その反射した光が刹那に当たり、刹那は遠く彼方までふっ飛んでいく。

「なぜだーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 刹那の叫びが小さくなっていった。

「ウ、ウォ、ウォ、ウォ……」

 残された2人は、笑いをこらえるのに必死。名前を呼びたくとも、スクラッチしまくっている。

「…………」

 ウォンは何も言わず、反対側のこめかみもひくつかせて部屋を出ていった。出ていったドアが閉まったと同時に、部屋の中は大爆笑の渦に巻き込まれたのだった……。

FIN.